【report】 F1’s AI を動力にレース運営の変革を推進 #INO107 #AWSreInvent #F1
こんにちは。AWS 事業本部の Yoshi です。
re:Invent 2024 でラスベガスに来ています。
複雑でスピーディーな F1 レースで AWS を活用した革新的な取り組みに関する session があったので参加してみました。
セッションの概要
タイトル
INO107 | Driving operational excellence: F1’s AI-fueled race-day transformation
説明
Discover how Formula 1 (F1) revolutionized storytelling and race-day operations through AWS powered innovation. Hear from F1 leadership on fostering a culture of innovation and using new mechanisms and governance models to accelerate product development. Explore F1’s generative AI solutions like Track Pulse, which identifies high-impact stories in real time with rich insights, and the AI-based assistant that streamlines issue resolution during races. Gain insights into F1’s transformation journey and best practices for enabling continual innovation and experimentation.
スピーカー
- Gaurav Kaila Prototyping Regional Manager, UK & Ireland, Amazon Web Services
- David King Head of Digital Technology, Formula 1
- Olga Miloserdova Innovation Lead, AWS
概要
F1(Formula 1)と AWS は 2018 年からパートナーシップを組み、クラウドテクノロジーを活用した革新的な取り組みを進めている。両社は 2022 年に提携を更新し、スポーツ全体のデジタルトランスフォーメーションと、継続的なイノベーション実現を目指している。
ポイント
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- F1 の歴史
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- イノベーションへの壁を乗り越えて
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- パートナーシップの進化
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- データ駆動型の革新
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- Track Pulse でファン体験向上
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- F1 RCA Chabot で技術的な課題解決時間短縮
1. F1 の歴史
F1 は 75 年の歴史を持つ世界的スポーツイベント。年間 24 レース、21 カ国で開催、15 億人が視聴。
2. イノベーションへの壁を乗り越えて
組織における革新的なアイデアの実現には、しばしば予算や前例主義といった様々な障壁が立ちはだかる。F1 と AWS は、このような課題を克服し、継続的なイノベーションを実現するための新たな取り組みを開始。
実験文化の確立
イノベーションには、失敗を恐れずそこから学びを得ることが重要。小さな実験を重ねながら成長するという文化を確立。Track Pulse の開発やリモートオペレーションモデルの導入など、具体的な成果も生まれている。特に、レース中のリアルタイムデータ分析は、実況解説チームの強力なツールとなっている。
3. パートナーシップの進化
2018 年にスタートした F1 と AWS の協力関係は、当初クラウドへの移行が中心だった。2022 年の提携更新により、スポーツ全体のデジタル変革と、他組織も参考にできるイノベーションモデルの構築という、より野心的な目標へと発展。
4. データ駆動型の革新
F1 は現在、18 ペタバイトものデータを AWS 上で管理し、375 以上の EC2 インスタンスを運用している。各車両から毎秒 110 万以上のデータポイントを収集し、リアルタイムでの分析を実現。この膨大なデータを活用し、レース運営の効率化やファン体験の向上として Track Pulse がある。
5. Track Pulse でファン体験向上
F1 レース中の全ての重要なストーリーをリアルタイムで特定・分析。複雑でスピーディーな F1 レースをより分かりやすく視聴者に伝達。予測分析による興味深い展開の事前告知やレース全体の理解度を向上することで、ファン体験を加速。
Track Pulse とは?
F1 レース中の全ての重要なストーリーをリアルタイムで特定・分析。1 秒間に 110 万以上のテレメトリーデータポイントを処理。20 台のマシン、24 サーキットにわたるデータを統合管理。ファン体験を向上させるサービス。
1. データ統合
- 各車両に搭載された 300 個以上のセンサーからのデータ収集
- リアルタイムのレースデータと過去の履歴データの組み合わせ
- 包括的な分析が可能
2. 放送制作への貢献
- 制作チームがスプリット秒単位の意思決定を可能に
- 見逃しがちな中位・下位グループの競争も含めた全体把握
- より豊かなストーリーテリングの実現
3. ファンエクスペリエンスの向上
- 複雑な F1 レースをより分かりやすく視聴者に伝達
- 予測分析による興味深い展開の事前告知
- レース全体の理解度向上
4. 技術的革新
- AWS のクラウドテクノロジーを活用
- 機械学習による予測分析
- リアルタイムデータ処理の実現
7. F1 RCA Chabot で技術的な課題解決時間短縮
レース運営における技術的な問題に対し、AI を活用したチャットボットを開発。これにより、エンジニアの問題解決時間を大幅に短縮し、より効率的な運営を実現している。
F1 RCA Chabot とは?
F1 の高速で複雑な運営環境において、効率的な問題解決を実現する革新的なツール。
フレンドリー
自然言語で技術レベルに関係なく誰でも利用可能。
ナレッジ管理
問題解決プロセスの自動記録、組織的な知見を蓄積。
時間短縮
エンジニアの作業時間を大幅削減、レース中の迅速な問題解決、重複作業の削減を実現。
おわりに
自動車業界では、レースで培った技術やナレッジを市販車にフィードバックするということを耳にしたことがある。複雑でスピーディーな F1 レースをより分かりやすく視聴者に伝達する Track Pulse 。F1 の高速で複雑な運営環境において、効率的な問題解決を実現する F1 RCA Chabot 、AI やテックな領域でもそれが当てはまりそうだなと感じた。
過酷な環境で AI やテックを活用することでどのようなイノベーションが生まれるのかとても興味深い。また、小さな実験を重ねながら成長するという文化を高速で実現できるのもクラウドならではないか。
このブログがどなたかの参考になれば幸いです。
以上、Yoshi でした!